社説:諫早干拓開門 アセスなき事業の帰結だ
国営諫早湾干拓事業を巡る漁業者らの潮受け堤防撤去や常時開門を求めた訴訟で佐賀地方裁判所が27日示した判断は、きわめてまっとうなものだ。
判決は潮受け堤防の撤去は却下したものの、堤防の閉め切りが諫早湾内やその近くでアサリ漁や養殖漁業に被害を及ぼしていることは認めた。さらに、同湾や有明海における環境変化を国は立証する責任があるとして、3年間の猶予期間を置き、5年間の開門で因果関係を明らかにすることを求めた。
また、福岡高等裁判所や公害等調整委員会が中長期間、開門した上での環境調査を求めたにもかかわらず行政側が実施していないのは、「立証妨害と同視できる」とまで断じている。
農林水産省は早急に、調査のため開門に取り掛かるべきだ。干拓地の営農者への十分な対策を講じなければならないことはいうまでもない。
開門になれば、これまでの事業費に加えて、調査などに必要な費用がかかる。これは、事業者である国が二つのアセスメント(事前評価)を怠ってきたことに起因している。国は責任を痛感しなければならない。
諫早干拓事業化のきっかけは第二次世界大戦後の食糧不足である。農地造成で米の増産を図ることが目的だった。ところが、ほどなくして、日本は米余りになり、干拓地の用途に工業地が入ってきた。さらに、この地域が水害を受けやすいことから、防災目的が重要な柱になった。
経済社会的ニーズの変化は公共事業ではよくある。ところが、諫早干拓のみならず多くの事業に共通するが、構想や計画の抜本的な見直しや中止の判断はほとんど行われない。公共事業が利権化してきたことの反映でもある。動き出した事業は当初計画に基づいて実施されることになる。
何が何でも続けるということは、ニーズにそぐわないものを作ることである。財政的には無駄な歳出を重ねることになる。経済社会面からのアセスメントが欠如していたことの結果だ。
一方、漁業者らが問題にしている環境アセスメントも全く不十分と言わざるを得ない。諫早湾や有明海湾奥部のような閉鎖性の高い水域では、綿密な事前評価が必要である。いったん、水質や水環境が悪化すれば、改善するには長い長い時間と多額の費用が必要になるからだ。
計画決定が環境アセスメント法のできる前だったとはいえ、閣議了解によるアセスは実施されていた。一体、何をしていたのか。
諫早干拓は二つのアセスを怠った典型例である。大規模ダム事業などでも同じような例が見受けられる。政府は公共事業改革というのであれば、メンツにとらわれたり、関係議員の顔色をうかがい事業を継続することはやめるべきだ。
毎日新聞 2008年6月29日 東京朝刊
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