社説:一斉休漁 漁業の構造改革につなげたい
全国の漁船が休漁に踏み切った。漁船燃料の価格が急騰しているものの、魚価は上がらない。そのしわ寄せを受ける漁民にとって死活問題であることを、アピールすることが狙いだ。
20万隻もの漁船が一斉に漁を見合わせ、養殖業者も同調し出荷を見合わせた。
原油価格の高騰は、漁民の生活を直撃している。近海の漁業は家族労働も多い。本来ならその分の賃金も計算して採算をはじくはずだが、家族の労賃を度外視してもなお採算がとれず、赤字を余儀なくされている。
意欲のある漁業者ほど、将来が見通せないため、借金がない今のうちにと、廃業を急ぐケースも目立つという。
燃料油の高騰分を補助金などで埋め合わせ、操業が維持できるようにしてもらいたい。切実な願いだ。しかし、原油価格の高騰に苦しんでいるのは、漁業関係者ばかりではない。
漁業用の船舶に燃料として使われているA重油や軽油は、もともと免税扱いだ。すでに優遇されているうえ、さらに漁業向けの燃料費補助を行えば、税負担も加えて燃料を購入しているトラック運送業者などから、異論が噴出するだろう。
しかも、補助金による埋め合わせで一時的にはしのげるだろうが、それによって問題が抜本的に解決するわけではない。補助金漬けは問題を先送りするだけになりかねない。
日本の水産業はもともと、漁民の高齢化に加え、生産性の低さなど構造的な問題を抱えている。
燃料油高騰は漁業者にとってはピンチだ。しかし、この問題は、単なる燃料油対策ではなく、構造問題の解決策を探り、日本の水産業の再生を図るという視点で取り組むべきだ。漁業への助成措置をとるとしても、こうした観点を踏まえて実施すべきだ。
現在の漁獲割り当ては、水産資源の再生能力を超え、乱獲につながっていると指摘されている。また、割当枠がいっぱいになる前に、自分の漁獲を少しでも増やそうと競って出漁するのも問題だ。
休漁や、経済性の低い漁船の減船に対する補償を行い、資源の回復を図り、水産業全体の生産性を高めるようにすべきだ。漁業者ごとに個別の漁獲枠を設けて、乱獲につながらないようにするといった制度的な改革も必要だろう。
取ってきた魚をスーパーや量販店向けの流通経路にのせるだけでなく、かつてのように産地での流通を促し、地域振興に役立てるというような展開もあっていいはずだ。
水揚げし、市場に出したら終わりではなく、流通過程での品質保持などにも取り組み、魚食文化の振興に、漁業者がもっと積極的にかかわるようにすべきだ。
一斉休漁を機に、日本の水産業の構造改革が本格的に進むよう期待したい。
毎日新聞 2008年7月16日 東京朝刊
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