社説:防衛省改革 政治家の資質が問われる
政府の「防衛省改革会議」が最終報告書を福田康夫首相に提出した。
防衛省改革は、米軍に提供した油のデータ隠ぺい、イージス艦情報の漏えい、前防衛事務次官の収賄事件、イージス艦「あたご」の漁船衝突事故など一連の不祥事を受けて議論が進められた。
報告書は、不祥事の分析と対策、防衛省・自衛隊の機能強化のための組織改編の2本柱から成っている。
不祥事対策では、国民から強い批判を浴びた前次官の事件に関連して、装備品選定会議の記録作成と要点の公表、一定期間後に会議録全文を情報公開の対象にすることを提言した。汚職の現場になった防衛調達の透明性を確保する一つの対策として評価できる。
報告書は「規則順守の徹底」「職業意識の確立」などの柱を掲げ、教育の徹底、監査・監察の強化などを盛り込んだ。防衛省・自衛隊への国民の視線はかつてなく厳しく、また、報告書の個々の対策がすべてではない。同省には、不祥事が起きた時の隠ぺい行動の反省を含めた、総合的な組織体質見直しに真剣に取り組んでもらいたい。
焦点の組織改編では、日本型のシビリアンコントロール(文民統制)と呼ばれてきた、内局の文官(背広組)が自衛官(制服組)に対して上位に立つ「文官優位」の撤廃を提言したのが最大の特徴だ。
具体的には、文官優位の象徴となっていた防衛参事官制度を「形骸(けいがい)化している」と廃止し、防衛相が政治任用する大臣補佐官を新設する。また、副防衛相ら政治家、背広組と制服組の幹部の3者で構成する防衛会議を同省の最高審議機関と位置付け、内局の一部と統合幕僚監部に背広・制服組を相互登用する。さらに、安全保障政策で首相を補佐するアドバイザーを置き、官邸機能の強化を図る。
大臣補佐官や首相アドバイザーの対象者に限定はない。制服組OBも就任できるわけで、制服組の意向がより反映されやすい制度になる可能性がある。
文民統制は本来、選挙で選ばれた国会議員を通じ、国民が軍事の最終的決定権を持つという民主主義の基本原則である。「政治統制」とも呼ばれる。報告書に貫かれる組織改編の方向は、この政治統制を具体化するものだ。それだけに、この改編が実現すれば、政治家にはこれまで以上の資質が求められることになる。
国民は政治家の能力に対して不信を抱いている。前次官の事件では、文官トップの暴走を許した政治家の責任が大きいことを見抜いている。
報告書が目指す改編組織をうまく機能させるには、「政治統制」を体現する資質を持った防衛相でなければならない。そして、防衛相の任命権を持つ首相の責任は格段に大きくなる。政治の側はこのことを肝に銘じるべきである。
毎日新聞 2008年7月16日 東京朝刊
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