社説:ふるさと納税 特産品よりも使い道で工夫を
地方の片思いに終わらぬ可能性も出てきた。自分の居住地以外の故郷などの自治体に住民税の一部を寄付できる「ふるさと納税」がスタートし、2カ月以上が過ぎた。大都市と地方の税収格差緩和の目的で導入されたが、岩手・宮城内陸地震の被災市への寄付が広がるなど、早くも存在感を見せつつある。
限られた範囲ながら主体的に税の納め先を選べるだけに、税を身近に感じる機会となり得る。自治体のアピール合戦はいささか過熱気味だ。使途などで寄付者への説明責任を果たすことで、制度の定着に努力すべきである。
「ふるさと納税」制度は改正地方税法がさきの国会で4月末に成立し、導入が確定した。納税者が自分の故郷や応援したい都道府県や市町村に寄付すると5000円を超える部分について、住民税の1割を限度に控除される。一定の所得控除も行われる。国民の関心はなお未知数だが、財政の一助としたい多くの自治体は活発なPRを展開している。西川一誠知事がもともと制度の提唱者である福井県の場合、6月末現在で65件、総額約420万円の申し出があったという。
注目すべき動きもある。さきの岩手・宮城内陸地震で被害が出た自治体への寄付が目立って増えているのだ。宮城県栗原市には8日までに61件、合計約350万円、岩手県奥州市には13件、合計約380万円の申し出があった。両市とも特に震災と絡めて寄付を募ったわけではないが、栗原市によると同市とこれまで関係の無かった人も含め、全国から申し出があるという。生まれ故郷への仕送りというシンプルな形以外にも、制度が活用される可能性を示したといえる。
一方で課題もある。住民税や所得税の控除を受けるには、確定申告を行う必要がある。多くの給与所得者にとって、未経験の確定申告を行う作業の負担は小さくない。住民税については居住する市町村への簡易申告でも控除されるが、より簡便な方法も検討すべきではないか。
自治体にも一層の努力が求められる。特産品などさまざまな「特典」を提供した寄付集めが目立つが、過剰なコストをかけることは好ましくない。むしろ工夫してほしいのは、使い道だ。兵庫県西宮市は元高校球児やタイガースファンも念頭に、阪神甲子園球場の周辺整備にあてる寄付を募っている。事前に使途を示さず受け入れる場合も、寄付が何に使われたかの事後報告は最低限行うべきだろう。
大都市圏内と地方の税収格差の是正に向け、政府は地方税である法人事業税の一部を今年度から再配分している。「ふるさと納税」に伴う格差是正効果は限定的に終わるかもしれない。それでも国民の税と地方自治への意識を高めるうえで、魅力的な制度である。
毎日新聞 2008年7月12日 東京朝刊
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