新国立劇場―芸術の場らしい議論を
劇場でどんな作品を上演するかを考え、劇場の目指す方向を示すのが、芸術監督だ。その「劇場の顔」の選考をめぐり、東京・初台の新国立劇場から大きなきしみが聞こえている。
新国立劇場は、伝統芸能を演じる国立劇場とは別に、「現代舞台芸術の創造、振興、普及」をめざして97年に開場した。年に約50億円の国費が投入され、オペラ、舞踊、演劇の3部門に芸術監督が置かれている。
混乱のきっかけは、文部官僚出身で元文部科学大臣の遠山敦子理事長が、芸術監督全員を一気に代えようとしたことだ。とくに演劇部門が問題になった。昨秋就任したばかりの演出家、鵜山仁監督が1期3年限りで退任させられることに疑問が出た。
次期監督の選考委員でシェークスピア劇の翻訳で知られる小田島雄志氏らは、鵜山氏の才能を評価して続投を求めた。だが執行部はそうした声を抑え、交代を理事会に提案した。そこでも演劇人や経済人の理事から異論や慎重論が相次いだのに、理事長は「対応を一任された」と交代を発表した。
芸術監督の人選は難しい。高い見識と芸術的な手腕が求められるが、それを客観的に計る物差しがないからだ。
選考の過程で理事長が考えを強く表明することはもちろんあっていい。しかし、理事たちの十分な理解を得られないようでは困る。
鵜山氏を再任しない理由として理事長は、劇場外からの演出依頼が多く、「忙しくて現場とのコミュニケーションに難しい面があった」ことを挙げている。そうしたことがあるなら鵜山氏には反省してもらわねばならないが、芸術家としての成果をどう判断するか議論を深めないまま、管理や運営面だけで芸術監督の適否は決められまい。
この十数年、国や自治体がつくった劇場が増えている。芸術監督を置くところも多い。しかし、芸術に公費を使う歴史が浅い日本では、公共の劇場の芸術監督をどう選び、どんな役割と権限を与えるかは定まっていない。
劇場とは、自由な精神が集う場である。芸術家はそこで、人間や世界を探究し、表現する。
そのリーダーである芸術監督を選ぶことは、劇場の針路を選ぶことだ。開かれた場で、芸術家、執行部、関連分野の専門家に観客も加わって、それぞれの考えをぶつけ合い、ここをどういう劇場にしてゆくのか、大いに議論したらいい。
新国立劇場は、そうした面でも一つのモデルを示す存在であってほしい。
議論には手間がかかる。だが効率に縛られがちな社会の中で、立ち止まって考えたり、迷ったり、多様な声に耳を傾けたりするのは、文化が担うべき大事な機能だ。その姿勢を捨てるなら、劇場は劇場でなくなる。
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