ヘリ墜落:2人死亡、8人重軽傷 北アルプス水晶岳

富山・長野県境に近い北アルプス水晶岳(標高2986メートル)にある水晶小屋(同約2800メートル)付近で、アカギヘリコプター(本社・前橋市、富岡六郎社長)のヘリコプター「富士ベル204B-2」が9日夕、墜落した事故で、富山県、長野県、同県警のヘリ3機が10日早朝から救出作業を行い、10人全員を富山県内の3病院に搬送した。2人の死亡を確認、6人が骨折などの重傷、2人が軽いけが。乗客の証言から、尾翼が雪に接触したことが、事故につながったらしい。
富山県警や病院などによると、死亡したのは操縦士の藤田哲也さん(52)=奈良市青山=と、乗客の建設会社員、長屋修さん(49)=長野県松本市。搬送された富山県黒部市民病院の田辺隆一医師=新川地域救命センター所長=によると、2人は顔などに裂挫傷があって全身凍結、死後硬直の状態で運ばれ、午前7時ごろ死亡が確認された。
県立中央病院に搬送された重傷の6人は、▽ア社営業担当の小川力皇(りきおう)さん(31)=東京都福生市▽同社整備士の大城敦さん(37)=千葉県船橋市▽水晶小屋管理人の伊藤圭さん(30)=長野県安曇野市▽妻の敦子さん(27)▽大工の徳武寿男さん(51)=長野県白馬村▽整備士の成田純さん(24)=船橋市。このほか富山赤十字病院に、乗客の篠伊知郎さん(45)=長野県大町市=と建設会社員、友野章さん(35)=長野県松本市=の2人が運ばれ、ともに軽いけが。
小西孝司・同病院院長によると、友野さんは「離陸直後に尾翼のローターが雪に接触。高く上がる前にヘリが落ち、突然横転した」と証言しているという。
ヘリは、山開きの準備のため小屋関係者、長野県松本市の建設会社員らを乗せて、同県大町市のヘリポートを離陸、関係者を小屋付近に降ろした。その後、再び乗客を乗せ、離陸直後に墜落したらしい。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は10日午前、事故原因を調べるため調査官3人が現地に向かった。東京・羽田空港から空路で富山に入り、同日中の事故現場到着を目指す予定。
毎日新聞 2007年4月10日 10時17分 (最終更新時間 4月10日 10時51分)