(일어TCT자격증학원)教員汚職―口利き封ずる仕組みを(08.07.21)
教員汚職―口利き封ずる仕組みを
教え子の顔が一人一人浮かぶ。あの子たちにどう話せばいいのか――。そんな思いで眠れぬ夜を過ごしている人はどれぐらいいるだろう。
大分県の教員採用をめぐる汚職事件で、不正に採用されていたことが確認された場合には採用が取り消されるという。当然の措置だろうが、子どもたちへの影響が心配でもある。
さて、全国の教員はこの事件をどんな思いで見ているのか。もちろん、憤慨している人が大半だろうが、ひょっとしたら苦い記憶を呼び覚まされている人もいるかもしれない。
文部科学省は、全国の都道府県の教育委員会に対し教員採用についての実態調査を指示した。今回の事件が大分県だけの特殊な事情にもとづくものだとは思えないということだろう。
実際、今回のように大胆で露骨な例は珍しいにしても、教員採用をめぐる口利き話はそこかしこで聞く。コネがなければ教員になりにくい、といった話も少なくない。
さらに新たな問題も出てきた。採用の合否が受験者本人に伝えられる前に、国会議員の秘書や県議らに漏らされていたという。本紙の調査によると、そんな便宜を図っていた都道府県・政令指定都市の教育委員会は、全国で20を超える。
合否の決まった後のことだ。採用を求めて口利きするのとは違う。だから目くじらをたてなくてもいいのではないかという考え方はいけない。
議員や地域の有力者らにだけ特別に知らせるのは、どう考えても公正ではない。そうした便宜供与が口利きを許すことにつながり、それが今回のような事件に発展したのではないか。
では、どうすべきか。
まず、各教育委員会は実態調査を機に、不正がないかどうか徹底的に検証してほしい。今回の事件でも教育委員会の中枢が不正に手を染めていたのだから、おざなりの調査で実態を突き止められるとはとても思えない。
何よりも大切なことは、不正が入り込まないような採用制度をつくることだ。試験問題と解答を公表し、試験の成績を受験者に通知する。試験の採点や合否判定には、県人事委員会や第三者機関などを関与させる。それらは最低限、必要なことだ。
同時に、口利きや特定の人たちへの便宜供与を一掃しなければならない。このほど教委の全国総会で事前通知をやめることで合意したというが、総会にはかるまでもないことだ。例えば鳥取県のように、口利きなどをしてきた場合はその名前や依頼の内容を公表するような制度を設けたらどうか。
繰り返される教員採用汚職。公立学校不信を増幅させる罪は限りなく重い。今度こそ教員の採用や人事にからむ不正や悪弊を根絶やしにすべきだ。