번역사/번역사 기출문제 일본어

(일어번역학원)◈ 일한 1급 1교시

현대천사 2008. 6. 11. 16:15
1급 일·한 번역 1교시

[1교시(공통), 제한시간 70분, 50점]

■ 다음 문장을 한국어로 번역하시오.[50점]

[1]
休漁の日はなかなか来なかった。宏が修学旅行へ出て二日目に、やっと休漁を
 
強いるほどの嵐が島を襲った。ほころびかけていた島の乏しい桜の蕾は、この
 
おかげでのこらず落ちでしまうだろうと思われた。
  
 前日、時ならぬ湿った風が帆布にまとわりつき、ふしぎな夕焼が空をおおっ
 
た。うねりが来、浜鳴りがきこえ、舟虫やおだんご虫がせっせと高いところ
 
へ登って行った。雨まじりの強風が夜中に吹きだし、悲鳴や笛のような響き
 
は、海からも空からもきこえた。
 
  新治は床の中でその声をきいた。それだけで今日は休漁だということがわか
 
った。これでは、漁具の修理や網綯いもできず、青年会の鼠とり作業もできな
 
いだろう。
 
  心のやさしい息子は、まだかたわらで寝息を立てている母親を起こすまいと
 
して、床に入ったまま、窓の白むのをひたすら待った。家ははげしく揺れ、
 
窓は鳴っていた。どこかでブリキ板がけたたましく倒れる音がした。歌島の
 
家は、大家も、新治のようなちいさい平屋も、入口の土間の左に厠を、右に
 
厨を控えたおなじ造りだったが、嵐の狂躁のさなかで、しずかに漂っている
 
のは、暁闇のあいだ家中を支配している唯一の匂い、燻んだ、冷たい、瞑想
 
的なあの厠の匂いであった。
 
  隣家の土蔵の壁に面している窓は遅く白んだ。彼は軒端に吹きつけて窓硝子
 
にしとどにつたわってくる豪雨を見上げた。労働の喜びも収入も、ふたつなが
 
ら奪う休漁日を、つい先頃までの彼は憎んだが、今はそれがすばらしい祝日
 
のように思われた。青空と国旗とそのきらめく金の珠に飾られた祝日ではな
 
くて、嵐と怒涛とひれふす梢をわたる風の叫喚に飾られた祝日である。
 
  待ちきれずに、床から跳ね起きた若者は、ところどころに穴のあいた黒い丸
 
首のセエタアを着、ズボンを穿いた。しばらくして目をさました母親は窓の
 
仄明りの前に立っている男の黒い影を見て叫んだ。
 
「ひやあ、誰じゃあ」
 
「俺や」
 
「おどすな。今日はこんな時化でも漁に行くのか」
 
「休漁やけど」
 
「休漁やったら、もっと寝とたらええに。なあんだ、知らん人かと思うた
 
に」
 
目さました母親の最初の印象は当たっていた。息子は事実見知らぬ男のよう
 
に見えた。ふだんめったに口をきかない新治が、大声で歌をうたったり、鴨
 
居にぶらさがって機械体操のまねをしたりしたのである。
 
  母親は家がこわれてしまうと叱り、
 
「外が時化なら、内も時化や」
 
  とわけがわからずに愚痴を言った。
 
  新治は煤けた柱時計を何度も見に立った。疑うことに馴れない心は、この
 
 
嵐を衝いて女が約束を守るかどうかということもつゆ疑わなかった。若者の
 
心には想像力が欠けていたので、不安にしろ、喜びにしろ、想像の力でそれ
 
を拡大し煩雑にして憂欝な暇つぶしに役立てる術を知らなかった。
 
  待つ思いに我慢がならなくなると、ゴムの雨合羽を羽織って海に会いに行っ
 
た。海だけが彼の無言の対話に答えてくれるような気がしたのである。激浪は
 
防波堤の上高く立上り、おそろしい轟きを立てて潰えた。


[2]
 
若者がゆく灯台への昇り道は、雨水が奔流をなして足許を洗った。松の梢は
 
唸った。ゴム長は歩きにくく、傘をささない頭の五分刈りの地肌をつたわっ
 
て、雨が襟元へ流れ込むのが感じられた。しかし若者は嵐へ顔をむけて昇っ
 
てゆく。嵐に抗おうというのではなくて、丁度彼の静かな幸福が静かな自然と
 
の連関のなかで確かめられるように、今の彼の内部は自然のこの狂躁に、いい
 
しれぬ親しみを感じるのであった。
 
  松林のあいだから眺め下ろす海には、多くの白い波が蹴るように進んでい
 
る。岬の先端の高い岩までがしばしば波に覆われる。
 
  女の坂を曲ると、窓々を閉め、帷を下ろして、嵐のなかに身をかがめている
 
灯台長官舎の平屋が見える。灯台へむかう石段を上る。閉め切った番小屋に
 
今日は灯台員の姿も見えず、雨のしぶきに濡れて鳴りやまない硝子戸のなか
 
には、閉ざされた窓にむかって呆然と立っている望遠鏡、隙間風が散らかし
 
た卓上の書類、パイプ、海上保安庁の制帽、けばけばしく新造船を描いた船会
 
社のカレンダア、柱時計、その柱の釘に無造作にかけられた大きな二枚の三
 
角定規……。
 
  観的哨についたときの若者は、肌着までずぶ濡れになっていた。この深閑と
 
した場所で、嵐はひときわ凄かった。島の頂きちかく、まわりに遮るものの
 
ない空には、嵐のほしいままな跳梁が眺められた。
 
  大きな窓が三方にあいた廃虚は、すこしも風を防がなかった。むしろ風雨を
 
室内へみちびき入れ、その乱舞に委せているようであった。二階の窓から見る
 
太平洋の広大な景観は、視野を雨雲にせばめられていたが、いちめんに波が白
 
い裏をかえして猛るさまは、その周囲が暗い雨雲のなかへぼかされているの
 
で、却って無限の荒々しいひろがりを想像させた。
 
  新治は外側の階段を下り、前に母の焚付をとりに来た一階をのぞいてみた。
 
するとそこが風を禦ぐのに好適であった。もとは物置に使われていたらしい
 
その階は、ごく小さな二三の窓の一つの硝子が破損しているにすぎなかっ
 
た。前には堆かった松葉の束は、それぞれ持ち運んだあとと見えて、片隅に
 
四つ五つ残されているばかりであった。
 
『牢屋みたいだな』と、黴の匂いをかぎながら新治は思った。さて風雨から
 
遮られると、急にずぶ濡れの寒さを感じて、大きなクシャミをした。