元助役親族の土地購入9千万円、業者が謝礼か 信楽汚職(08.05.09)
元助役親族の土地購入9千万円、業者が謝礼か 信楽汚職
2008年05月09日08時50分
滋賀県・旧信楽町(現甲賀市)の町有地買収をめぐる汚職事件で、宗教法人「神慈秀明会(しんじしゅうめいかい)」(本部・同市)から買収業務を任された大津市の不動産会社の関連会社が、元町助役の服部純一郎容疑者(66)=甲賀市信楽町畑=の親族が所有する土地を、約9千万円で買い取っていたことが、県警の調べでわかった。当時、この親族は多額の借金を抱え、元助役が債務保証をしていたという。県警は謝礼の一部だった可能性があるとみている。
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町有地の取引と金の流れ |
県警は7日、町有地売買で不動産会社に便宜を図り、同社社長(59)から現金1千万円の謝礼を受け取ったとされる受託収賄容疑で元助役を逮捕した。元助役は「間違いありません」と容疑を認めているという。県警は甲賀市役所信楽支所や元助役の自宅などを家宅捜索した。
捜査2課の調べでは、この親族は、甲賀市内で製陶所を経営。製陶所の土地のほか、元助役の自宅などを担保に金融機関から融資を受け、町有地の取引当時、総額約1億5千万円の債務を抱えて返済を滞らせていた。元助役は金融機関から対応を迫られていたという。
町は03年8月13日、町有地を5228万円で不動産会社に売却。同社の関連会社は同29日に製陶所の土地(約2千平方メートル)を購入した。親族によると、買収価格は約9千万円で、親族はほぼ全額を返済にあて、債務の半分以上を帳消しにしたという。残った債務は、債務保証していた元助役らが返済したが、この土地取引で負担額が大きく軽減したとみられる。
関連会社は、不動産会社の取締役を代表者として、03年3月に設立された。神慈秀明会はその1カ月前、不動産会社に町有地の買収業務を委託。同時期に、同社長が元助役に早急に町有地を売却するように依頼し、町側の交渉窓口を務めていた元助役は、町議会への根回しや売却方法の決定などに便宜を図っていたとされる。
親族の土地売買について、元助役は昨年11月、朝日新聞の取材に「私ではなく、親族が(買い手の)関連会社を見つけてきた。たまたま町有地の売買と時期が近かった」と関連を否定した。不動産会社の社長も「(町有地の売買とは)関係がない」と話した。